久しぶりに北野映画を見たくなり、手に取ったのは「ソナチネ」。
北野武監督の第四作目作品である。
どうして北野武はこういう映画を撮れるんだ?
といつも思ってしまう。
演出なのかどうか分からないが、出演者達の極端にまばたきの少ない
ノーセリフシーンが随所にちりばめられ
無感情、無感覚な雰囲気がやくざ社会の冷たい空気を醸し出している。
バイオレンスシーンになると、それがさらに恐怖となって伝わってくる。
沖縄を舞台に日常と非日常が交錯し、華やかな南国のムードも
なんとも重々しい感じとなっているのが特徴。
それにしても、このバイオレンスに押し切られそうな作品の中に
声を出して笑いたくなるようなお笑い、ブラックユーモアが
暗く沈みがちな作品の印象を別のものに変えている。
これは北野映画にしか出来ないテクニックと強く思う。
これにより作品の幅や膨らみに相乗効果として相当効いているのでは。
死と隣り合わせの世界で、
生き残るためには他人の死を踏み越えていく世界のはずなのだが
ラスト…、これは当時の北野武の死生観なのかもしれない。
個人的に寺島進の大ファンである。
本作品は特に寺島進の「味」を存分に出していたと感じる。
映画興行成績はズタボロであったが、これは万人受けの映画ではないと思う。
バイオレンスが駄目な人には、絶対に受け入れられないシーンもある。
ただ単に観るならば、映像は非常に美しいと感じるに違いない。
音楽を久石譲が担当していることも影響が大きいのかもしれない。
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